かってに介護Q&A)介護保険サービスってなに?その5 体験利用ってなんですか?
Q)体験利用ってなんですか?
A)介護サービスを実際に受ける前に無料で体験することができるのです
前回はサービス担当者会議の説明まで行いました。
サービス担当者会議とは、通称担会と言いまして、介護サービスを受ける前の確認とか要望とかを話し合うことです。
ところで、この担会を行う前に、サービスの内容によっては体験利用を行うことができます。
体験利用とは文字通り、介護サービスを実際に体験することができることで、ただし私の知ってる範囲では次のサービスに限られています。
通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション(デイケア)
介護サービスにはいろいろなサービスがあって、それは「介護保険サービスってなに?」が終わったら、次のQ&Aで説明して行きたいと思うので、ここでは省略しますが、これらについては実際のサービス提供の前に、体験利用をすることができるのです。
しかも驚くなかれ、体験利用については「無料」でサービスを利用できます。ただしデイサービスの場合、昼食代を請求されることがあります。これには事情があるのですが、これも次のQ&Aで説明しようと思いますので省略。
デイサービスやデイケアの場合、多くの人と否応なしに接することとなるので、どうしても「相性」の問題が出てくるのですが、事前にその相性を確かめるためにも体験利用は必要です。なので、利用に関しては、施設側もケアマネとしても、ほぼ必ず事前の体験利用を勧めるはずです。もちろん私も勧めています。というか、体験利用の後で、その介護サービス事業者のサービスを利用するかしないかを決めるのです。
さて、体験利用をして、「あら、ここはいい感じだわ!」となると、担会を開いていよいよサービス開始となるのですが、「ちょっとここ嫌だわぁ」となるとどうなるのか?というと、実は体験利用は何度でもできるのです。ここもポイント。
けれども、なんでもそうだと思うのですが、ただだから何回も体験利用というのは「心象」はよくないですよね。本当にサービスを利用する気があるの?となってしまいがちです。実際に体験利用を三回以上繰り返す方は「問題がある」とみなされる場合がほとんどだし、どこも受け入れてくれないということになってしまって、いわゆる「サービス難民」になりがちです。しかも、実際に利用してもすぐにやめてしまうケースも多い。介護サービスの利用には「利用者もある種の協調性が必要」という感じですね。それがいいのか悪いのかはさておいて。
このように体験利用をした上で、担会を開き、そしてサービス開始。
これが介護サービス提供までの一連の流れです。体験利用がない他のサービス、例えば訪問系(これも次のQ&Aで説明します)などでは、最初にみんなで集まっての会議の時に細かな打ち合わせを行い、その後にサービス提供となります。
長かったなぁ。
実際に介護サービスを受けたいとなって、手続きを済ませてサービス開始となるまで、最短でも1ヶ月。中にはなかなか決まらないというケースも当然あります。介護サービスの提供側との妥協点が見出せないとか、あるいは提供側からお断りされたり(困難事例はお断りされることが多いですよ)。中にはサービス開始前に利用者が亡くなってしまうなんてこともあることです。
そうそう。ここからは付け足しですが、実際にサービスが開始されたらそれで終わりかといえばそうではなく、私たちケアマネは毎月の定期訪問で、サービスの利用状況についての不備などないかを本人から確認したり(モニタリングと言います)しますし、サービス事業所からも、利用者の利用中の様子などの報告が毎月来ます(これもモニタリングと言います)。そして利用を開始してから6ヶ月とか1年とかの節目にまた関係者一同が集まって会議を開き(担会)サービスがこれでいいのかどうかの検討をするのです。
この繰り返し。これが介護サービスです。そしてこの介護サービスを支えている根本が介護保険サービスということになります。
以上、介護保険サービスってなに?について、私の知ってる範囲で書きました。次回で一連の流れをもう一度おさらいして終わりの予定です。介護サービスは色々と面倒です。本当にそうです。けれども、それでも多くの人がサービスを利用して、そして多くの人は納得したり満足したりしています。
そして「助かってます」「ありがたいです」という言葉をよく聞きます。素直に嬉しいです。もちろん綺麗事だけではなく、お金の問題も出てきますし、慈善事業ではないので、金の切れ目が縁の切れ目というのもよくある話。生活保護も介護サービスを語る上では欠かせないポイントです。
色々と複雑な介護サービス。教科書に書かれているような綺麗な言葉だけでは何が何だかわからないと思ってるので、これからも適度にぶっちゃけていくつもりです。
もっと制度がわかりやすくなればいいのになぁと思いつつも、でも、愚痴ばかりでも仕方ありません。
介護サービスを検討されている方についてのワンポイントアドバイスがあるのですが、それは次回に取っておきますね。