かってに介護Q&A)認知症の方が食事を拒否する原因って?
Q)認知症の方が食事を拒否する原因って?
A)食事がまずいからではありません
時々あるのですが、認知症の方がずっと食事を拒否する場合、それは食事が美味しくないからではありません。美味しい料理を出してもあっさりと拒否されて、それで落ち込んではいけないのです。
では、具体的にはどんな原因で食事を拒否するのか、以下に箇条書きしてみたいと思います。
・無気力無関心、抑うつ状態
認知症になると、無気力無関心になることがあります。例えば一日中ずっとソファに座ってるような。これは認知症の心理・行動症状の一つでこうなると、食欲がなくなり、食事自体に興味を示さなくなるのです。また気持ちが落ち込むような抑鬱状態によっても食欲がなくなり、食べなくなるのです。
・意思疎通
自分の言葉でうまく伝えられないということも認知症ではよくあるケースです。例えば歯が痛くて食事ができない場合でも「歯が痛い」と訴えることができない。それが食事拒否だと勘違いされてしまうのです。同様に体調が悪くてもそれをうまく伝えられない場合などもあります。
・いつもと違う環境
いつもと違うテーブルだったり椅子だったり、あるいはいつもと違う箸。いつもと違う器でも拒否されることがあります。認知症の方はちょっとした環境の変化にとても敏感なのです。それで食事に集中できないということはよくあります。
・老い
認知症に限らず、高齢になるとどうしても体の機能は低下します。筋力の衰えから椅子に座ってられない、階段の上り下りがきつい、長風呂だったのが烏の行水になってしまった、などなど。消化器官も当然老化するため、脂っこいものがダメになったり、食べる量が大幅に減ったりもします。
・嚥下機能の低下
老いと関連するのですが、そもそも高齢になると食べ物を飲み込みにくくなるようになります。そのためぐんと跳ね上がる死亡原因が「誤嚥性肺炎」。介護施設では食事前に必ず「パタカラ体操」なるものをするのですが、これはまさに誤嚥防止のための体操。それだけ誤嚥は大きな問題なのです。
・薬物の影響
飲んでる薬の種類によっては、味覚変化や食事の時間に眠くなるなどの問題が起こることがあります。
そしてそもそも…
そしてそもそも、認知症の方は食べ物そのものを理解できない。これが(わりと見過ごされがちな)大きなポイントです。自分の目の前にあるものがなんなのかわからないのです。だから手で触ってぐちゃぐちゃにしてしまうこともあるし、箸やスプーンなどの食器もおもちゃにしてしまうことがあるのです。
これは介護業界ではよく言われていることなのですが
何を食べたのか忘れているのは物忘れ
食べたこと自体を忘れているのが認知症
認知症はまさに根本的なところを忘れてしまうのですね。