かってに介護Q&A)認知症の周辺症状って?その1 妄想
Q)妄想ってどんな妄想?
A)物盗られ妄想が多いです
認知症は怖いと思われています。実際怖いです。何もしなければ、症状はどんどん悪化していき、最後には亡くなってしまうからです。
これは私自身の実感なのですが、介護サービスが入ることで、認知症の進行は本当に遅くなるなぁと思います。
少なくとも、近年、私の知る限りでは、ドラマとか映画になるような激しい症状はほとんど見かけません。
けど、では症状が何もないかといえば、そうではなく、やっぱりちゃんと症状はあります。
そこで今回からは、認知症の症状について、私の経験から語ってみたいと思います。
認知症の症状には大きく分けて、中核症状と周辺症状があります。
中核症状は脳の障害によって起こる直接的な症状で、記憶障害や見当式障害などが当てはまります。自分がどこにいるのか?自分の名前は?今は何年何月何日の何時なのか?といった基本的なことがわからなくなることです。言葉自体がわからなくなるということもあります。そしてこれらが元になって引き起こされるのが周辺症状。
周辺症状はBPSDと呼ばれることもあり、ドラマや映画で取り上げられるものはこれが多いです。
興奮、暴力、徘徊、うつ状態、妄想、怒りっぽくなる
などがあって、別に認知症でなくてもそんなことはありそうなのですが、認知症の場合は、その状態が長く続くということ。これがポイントなのです。
そんな大変な周辺症状の中で、今回は「妄想」について取り上げたいと思います。1番多いのはズバリ「物盗られ妄想」です。
お金が無くなった、服が無くなった、
だけならまだしも、
誰かに盗まれた!
がセットになる場合が多く、その誰かは「家族」「友達」「(施設の)職員」などなどで、この訴えが延々と続くのです。同じ話を延々とするのでして、例えばデイサービスに通っていても
「誰かが勝手に家に入って盗んでいくから、私帰る!」とか
「ちょっと確認したいから部屋に帰っていい?」とか
とにかく訴える本人は真剣で、涙を流して心配したりもします。また、中には「警察を呼ぶ」という実力行使に出る方もいます。
「物盗られ妄想」は本当に多くて、これは私が働いた全ての施設で普通にありました。不思議なのは、私の知る限りでは訴える側がなぜか全て「女性」ばかりで、男性の訴えはなかったです。男性の「物盗られ妄想」って誰か経験あるでしょうか?
ちなみに、ものすごく多い「物盗られ妄想」なので、介護職員の対策もパターン化されていて、基本は二つ
相手の話を肯定も否定もせずに聞く
一緒に探す
これらの応用で対応しています。警察を呼ぶというのは、実は何の解決にもならない場合が圧倒的で、マイナス面ばかりが残りました。というのも、実際には何もとられていない場合がほとんどだからで、訴えた本人が傷ついたり、家族との仲がこじれたり、あるいは施設にいれなくなって退去していった方もいます。何も良いことがないのです。
話を聞くということは、ものすごく根気がいるとは思いますが、しっかり聞いた上で、その人に合った気分転換をしてもらうのがとりあえずの最善策かと思います。