認知症高齢者の生活自立度について学ぼう!
大真面目に認知症のお話。
私にできるかな?
笑
これ以上文章を膨らませることができないのでさっさと本題に入りますが、介護サービスを受けるためには介護認定を受けなければなりません。介護認定を受けないと介護保険が利用できないからです。介護認定と介護保険と介護サービスは全部が連動しています。けど、それらは全部が
「そもそも介護の必要性があるのか」
「介護が必要ならどんな種類の介護サービスが適正なのか」
上記を見定めるためのもので、その上で介護サービスを受けることになるのです。
ところで、介護認定を受ける場合に、介護度は比較的多くの人が気にすると思うのですが(なぜならここがズバリお金に直結するから)
認知症高齢者の生活自立度
という項目は案外スルーされがちです。なぜならこの項目は特にお金に絡んでこないから。けれどここはとても大事な項目なんですよね。認知症の方にとっては特に。
では、認知症高齢者の生活自立度とは何かというと、やっぱりこれも「この人にはどの程度の介護が必要なのか」を判断するための項目なのです。つまり介護の度合いを分類したものです。全部で9段階に分かれているのですが、こんな感じでローマ数字とアルファベットの組み合わせで表します。
I, II, IIA, IIB, III, IIIA, IIIB, IV, M
いきなりこうして書かれてもわかりにくいですよね。以下、ざっと説明していきます。
I,
認知症ではあるが、日常生活は問題なく過ごせる
II,
誰かが注意するなどすれば日常生活は問題なく過ごせる
IIA,
家から出た場合に困難が生じる
・買い物ができない
・道がわからなくなる、など
IIB,
家にいても困難が生じる
・服薬管理ができない、など
III,
日常生活に支障をきたすような症状が出たり、意思疎通が困難になり「介護」が必要となる
IIIA,
IIIの状態が「日中」に見られる
・着替えや食事や排泄がうまく一人でできないあるいは時間がかかる
・徘徊
・失禁、など
IIIB,
IIIの状態が「夜」に見られる
例は同上
IV,
日常生活に支障をきたすような症状や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする
ここまでを別の言葉でもっと簡単に言い直すと、
Iについては、認知症と言われたけど、普通の人には見分けがつかない状況でほぼ普通の人と変わらない
IIについては、確かに認知症っぽいけど、誰か(家族など)のサポートで問題なく過ごせる
IIIについては必要な部分に介護サービスが必要となる(訪問介護やデイサービスなど)
IVについては全面的な介護サービスが必要となる(グループホームなどの施設に入所)
という感じです(括弧内の介護サービスについてはあくまでも目安)。
ところで、わざとスルーしていたのですが、認知症高齢者の生活自立度にはもう一つのランクがあります。けどそれはローマ数字じゃないんです。本来ならローマ数字で1から4まできたなら、次は当然5、つまりはVになるはずですよね。
けれど、認知症高齢者の生活自立度ではその表記はVではなくMになっています。
なんでMなの?
と、私は思いました。そして答えはというと、ズバリMはMedicalの頭文字だそうです。認知症としてはもっとも重度で、医療面からのケアが必須となることからきているとのことですが、具体的には
・著しい精神症状や問題行動(妄想が酷かったり錯乱したり)
・重篤な身体疾患(自分を傷つけたり)
などがあって、専門医療を必要とする状態を表します。テレビとかでセンセーショナルに報道されるレベルで、多くの人が怖がっているのもこのレベルとなります。
私の経験からという狭い範囲にはなりますが、生活相談員時代もケアマネになった今もMは見たことがありません。多くの認知症の方は服薬と介護サービスで日常生活をほぼ問題なく過ごされていますし、最近ではうんこをいじったりだとかいう極端な例もあまり見聞きしないです。
個人的には、介護サービスが本当に役立っているのではないかと思います。
たとえ認知症になったとしても、適切な介護を受けさえすれば、思った以上に症状は落ち着いて、以後の人生を明るく楽しく生きていけるんじゃないかというのが私の意見です。
ちなみに、認知症は全て「医者の判断」です。私たちは認知症かどうかの判断はできません。医者の判断を元にして、じゃあこの方はちゃんと生活していけるのか、あるいは介護サービスが必要なのかを判断するのが認知症高齢者の生活自立度なのです。
介護サービスを利用している高齢者の方で、これまでの職員の経験から「どうも明らかに言動がおかしい」という方がいたりしますが、だから認知症ではないのです。職員としては、たとえば家族の方に
ちょっとこれこれこうで検査をされた方がいいかもしれません
というアドバイスをするのが精一杯。それ以上は踏み込めないのです。