かってに介護Q&A)介護保険サービスの種類を教えて?その12 またも寄り道!地域密着型サービスって何?

Q)地域密着型サービスって何?
A)住み慣れたところで介護を受けたいというニーズにお応えするサービスです
介護サービスの説明も残りわずか。そして施設編となり、まだ説明していないサービス付き高齢者向け住宅などの説明をしようと思って、自分の少ない知識を整理していたのですが、そういえば施設の説明する前にこれを説明すべきだった!という大事なことに気がつきました。
それが地域密着型サービスです。
これは忘れてしまってはいけない!
というわけで、今回は忘れないうちに地域密着型サービスについて説明していきたいと思います。
地域密着というのは、一体何が地域密着なのかというと、自分の住んでいる慣れ親しんだ場所で介護を受けたいということなんです。
もうちょっと具体的に説明しますね。
例えば子供2人を育てたご夫婦。ご主人が亡くなって、奥様一人が家にいるとします。子供たちはそれぞれが独立してよその地域(例えば札幌市)で元気に生活していて、どちらも「お母さんの面倒見るよ!」と言ってくれているとしましょう。奥様は「気持ちは嬉しいわ。けど、私はこの家が好きだし、できればここでこれからも過ごしていきたい」という気持ち。だけど、最近は少し体力も衰えてしまい、一人で生活するのは大変になってきました。そうなると、大まかな選択肢は二つになります。
・自分の住んでいる家で過ごす
・子供たちの住んでいるところに世話になる
そして、上の選択肢、すなわちこれまで住んでいるところでこれからも過ごせるようにサービスを行うのが地域密着型サービスなのです。
とはいうものの、実は必ずしもそういう利用の仕方をしていない場合もあって、ポイントは「自分の住んでいる家」。自分の住んでいる家をどうやって判断しているのかということなんです。じゃあどうやって判断するのかというと、
住民票に記載されている場所
で判断するのです。上記の場合、奥様が今住んでいるところが「自分の住んでいる家」なのですが、仮にどちらかの子供の家に世話になるとして、住民票をそこに移せば、そこが「自分の住んでいる家」となるのです。
視点を変えるなら、この地域密着型サービスを掲げている事業所からサービスを受けるためには、その事業所のある場所に住民票を移さなければならないという面倒が生じるのです。
そして実はこれが割とよくある話で、かつ揉め事の原因ともなるのですよね。例えば
・札幌に住んでいる娘さんが
・近隣町村に一人で住んでいる母親が心配だからというので
・札幌の施設でどこかいい場所がないかとケアマネに相談したら
・いい施設を紹介してくれたけど
・そこは地域密着型サービスを掲げている施設で
・サービスを利用するには母親の住民票を移動しなければならない
・けど実家に愛着のある母親はそこから動きたくない!
・結果として一人暮らしが続いている
こんな感じです。じゃあ母親の住んでいる町村でいい介護サービスを受けられる施設を探せばいいじゃん!となりそうなものですが、この辺りが家族の複雑なところで、何かあったらすぐに駆けつけたいという娘さんの気持ちだったりもあるし、母親が亡くなったらその場所にはもう用がないので、だったら今のうちに整理したいとか、もう色々あるんです。
そんな感じで、地域密着という理念は素晴らしいけど、現実は割と面倒なのが地域密着型サービス。
要介護認定を受けていて、サービス提供事業所と同一の市町村に住民票を持っている方が対象。サービスは以下の通りで箇条書き。
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
・定期巡回、随時対応型訪問介護看護
・地域密着型通所介護(デイサービス)
・認知症対応型通所介護(デイサービス)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・地域密着型介護老人福祉施設
ポイントは少人数対応ということで、多くない人数だからこそのきめ細かい対応ができますよということ。けれど、繰り返しますが、サービス提供事業所と同じ市町村に住民票がないとサービスを受けることはできません。
また、ここもあまり触れられていませんが、地域密着型サービスは少人数にきめ細かいサービスを行うからということで「若干料金が高い」のです。受けるサービスにより金額が変わるので具体的な数字は出しませんが、ちょっとお高いのは確か。
じゃあ安くてもいいやってことでいわゆる通常型のデイサービス!なんてことになると、そこは大人数で利用する方もいろいろ大変で、尚且つ場合によってはアキ待ちになったりだとか、安いなりの不便もあります。
いろいろあって、あとは利用する側の判断ということになります。
ちょっとだけ裏話をすると、地域密着型サービスは利用者の料金が若干高いのですが、だから事業者側が儲かるかというと、そういうことはほとんどの場合、全くありません。みなさんご存知の通り、介護職員の給料は安いのですが、この原因の一つには、事業所が地域密着型を選んだはいいが「受入人数が限られている」ので、実は収入がどうしても頭打ちになってしまうという問題があるのです。例えばデイサービスの生活相談員は、もう数字が全部頭に入っているので、この規模だと収入はどれくらいあるかが瞬時にわかる仕組みなのです。そして職員数がわかれば、おおよその給料もわかってしまうという。苦笑。
改善してほしい部分ですね。
そんな地域密着型サービスでした。