かってに介護Q&A)介護保険サービスの種類を教えて?その11 介護老人保健施設ってなに?
Q)介護老人保健施設ってなに?
A)基本的には病院と自宅の間にあるものです
前回は箸休めでしたが、また介護保険サービスの種類をお伝えしていきたいと思います。今回は介護老人保健施設。プロ的には「老健」と呼ばれています。
何かの病気や怪我で病院に入院したとします。
いざ退院というときの選択肢は、退院時の状態によりあれこれあるのですが、その選択肢の一つとして介護老人保健施設があるのです。
ところでこの介護老人保健施設。絶対に押さえておくべきポイントがあります。それは期間限定ということ。
つまり「ずっと居続けることはできない」のです。
介護老人保健施設とは、あくまでもワンポイントリリーフのようなもので(野球好きな人なら意味はわかると思います)その目的は「自宅での生活ができるようにリハビリなどを行う」こと。期間は3ヶ月から6ヶ月となっています。
しかしながら、現状はといえば、まだリハビリの効果が思うように出ていないだとか、家族の受け入れ態勢が整ってないだとか、あるいは住宅改修しなければならないなどの理由で自宅に帰れないという「難民」が発生しているのも事実。しかし決まりは決まりなので、そのまま介護老人保健施設に居続けるわけにもいかず、だから例えば特別養護老人ホーム(プロ的には「特養」という)などの入居待ちという方もいます。
ちなみに特別養護老人ホームの場合は寝たきりになってしまったなどというような重度の介護にも対応しており、入居期間は無制限。ずっと居続けて事実上「終のすみか」となることも多いのですが、病気の経過や退院時の状態などを見極めて上で、特別養護老人ホームなのか介護老人保健施設の選択をしなければなりません。そしてその見極めは思った以上に難しいのが実情ですね。
いささか乱暴に分けるなら
介護老人保健施設 → 回復の見込みがある(リハビリ重視
特別養護老人ホーム → 回復の見込みがない(介護重視
という感じ。なんだか病気とか怪我って残酷ですね。
そんな介護老人保健施設ですが、もう少し具体的に紹介しますね。サービス内容は5つで
・リハビリ
・看護、医療ケア
・身体介護
・生活援助
・食事の提供
を行います。決まりとして週に2回以上のリハビリが義務づけられていて、集団リハビリも行われています。起き上がったり車椅子などに座ったり歩行したり。また、介護老人保健施設には必ず医師が常勤しているので、医療体制も整っています。インシュリン注射や経管栄養、たん吸引など、介護職では難しい(できないわけではない)医療ケアも充実しているのはいうまでもありません。ちなみに、介護職員がそれらの医療ケアを行うためには資格を取るための研修が必要になります。
身体介護や生活援助、食事の提供についてですが、多くの人は「そんなのは当たり前のことでは?」と思う人がいるかもしれません。けれど、実はこれらのサービスは基本的にはそれぞれ分かれてデイサービスになったり訪問介護になったりしており、この辺りが介護のややこしいところでもあります。そのうち紹介することになるサービス付き高齢者住宅(サ高住)では、基本としてそれらのサービスは「自ら選ぶ」形となっていて、サービスを使わないでただ部屋に住んでいるというだけの方もいるのです。
介護老人保健施設の場合は、利用すればそれらのサービスも付いてくるというので、便利と言えば便利ですね。
利用できるのは要介護1以上の方ですが、入所に関しては「判定」が行われます。上記でも書きましたが、病気の経過や退院時の状態などを見極めなければなりません。その上で「短期間でも大丈夫」ということになると利用できます。
介護老人保健施設自体は期間限定なので、待機日数が短く、比較的すぐに入所できるのですが、そこから先は実は案外難しいのは前述の通りで、だから「難民」にならないようにしなければなりません。
なんとなく、痛し痒しというか、帯に短し襷に長しというか、個人的には中途半端な気がしないでもない施設なのですが、けど「ワンポイントリリーフ」だと思えば、むしろ頼もしい存在であることも確か!
有効に活用できればいいですね!