かってに介護Q&A)介護保険サービスの種類を教えて?その1 デイサービスって何?

Q)デイサービスって何?
A)比較的元気な高齢者が集まって楽しむところです

色々なサイトを見ていると、介護サービスに限らず、説明口調で教科書的なものが多いような気がするのですが、皆さんはどうでしょうか?読んでいて、このサービスはこういう感じかなぁって思い浮かびますか?

例えば、多くのサイトは介護サービスについて、居宅サービスとか施設サービスとか地域密着型サービスとかいう分類から始まって、その分類ごとにあれこれ説明していく形になっていると思います。けれど、実際に利用する側からすれば、

そういう難しいことはいいから、具体的にそれって何するところなの?

というのが一番の関心事だと思うのです。

これからしばらくQ&Aコーナーでは、具体的な介護サービスの種類について、毎回一つずつ紹介していこうかと思っていますが、できるだけ教科書的な感じじゃなく、具体的に想像できるような感じで書いていきたいと思っています。けど、私の文章力がそこまでいけてないかもしれませんので、そういう場合は皆さんの想像力で補って頂けたらと思います。

では第1回目ですが、私が長く勤めていたデイサービスから紹介していきたいと思います。

デイサービスとは何か?と言うなら、私の意見では「比較的元気な高齢者が集まって楽しむところです」と答えます。

デイサービスの正式名称は「通所介護」というもので、食事や入浴などの日常生活に対する支援、また身体機能維持のための訓練などを日帰りで提供するものというような記述が多いかと思います。難しく書くとその通りなのですが、実際に利用している高齢者的には

・風呂に入りに行く
・ご飯食べに行く
・(寂しいから)友達に会いに行く
・家にいてゴロゴロしていると体に良くないから運動しに行く

という感覚がほとんどだと思います。自分が住んでいる場所から施設に通ってサービスを受ける、だから通所介護なんですね。

施設に通うところが学校みたいだという方もいますが(介護員が先生と呼ばれることもよくある)、一方では男性に多いのが「仕事に行く」という感覚になる方もいるということで、そういう方は

仕事がようやく終わってほっとしたのに、また仕事(デイサービス)か

と感じてしまい、それでデイサービスの利用を嫌がる人もいます。わかる気がします。

ともあれ、自分の住んでいるところから出かけて日中を施設で過ごすのですが、大まかな流れとしてはこんな感じになります。これはどこでもほとんど一緒。

・血圧、体温チェック
・朝の会
・入浴
・午前の各種イベント
・昼食
・午後の各種イベント
・おやつ
・休憩
・帰宅

イベント以外はやることはほぼ固定でして、違うのは入浴の順番とか昼食のメニューぐらい。あとはもうほとんどすることが決まっています。
イベントについては、多くのデイサービスが工夫を凝らしているとこでして、午前中は

・塗り絵
・工作
・脳トレ

など座って何かを行うことが多く、午後は

・運動やゲーム
・カラオケ

で、みんなで体を動かそう!ゲームしよう!楽しもう!という感じです。午前中から張り切ると、午後には疲れてしまい何もできなくなるというケースが多いからです。だから午前中は無理をさせない。それと、午前中は「入浴」があるので、その分みんなで集まって何かをすることができなくなるので、だから座って行えるイベントになってしまうのです。

逆に午後はみんなで集まることができるから、体操とかゲームになるのですね。

もちろん全くイベントには興味がなく、私は入浴のために来ていると公言する人もいますが、そういう方も、気がつけばなんだかんだで楽しくイベントに参加していたりするんですよね。それはなぜかというと、たくさんの「同じような高齢者がいる」ということがあるからだと思います。

仲間がいるという感じでしょうか。

デイサービスでは、この「同じ仲間がいる」というのがとても大切な要素だと私は思っています。それっぽく言うなら「社会参加」と言うのですが、そういう面倒なことはさておき、仲間がいれば、話もできて、いつの間にか友達もできて、それが楽しくてデイに行く、という方がたくさんいるのです。

一人暮らしの高齢者って結構います。そういう方は1日中誰とも会わず、会話すらないという方も大勢います。そういう方はたくさんのリスクを抱えているのです。だからみんなで集まりませんか?そしたら楽しいですよ。ぶっちゃけイベントとかどうでもいいから、まずは友達と会話しに来ませんか?みんなでご飯食べるのも楽しいですよ。

デイサービスというのはそういうところです。楽しむということは案外蔑ろにされていると思います。けど、デイサービスは「楽しむところ」ですよ。あれこれしても「楽しくなかったら」長続きしませんし、機能の維持とかいった教科書的なことなどできません。これはすごく大事なのに、どこにもあまり書かれていないことです。

そしてデイサービスにはもう一つの重要な側面があります。それは「家族が楽する」ということ。難しく書くなら「レスパイトケア」と言います。

介護は面倒だから、しんどいからプロに任せるわけですよね。それを「楽する」と書くと後ろめたくなる人が一定数いると思います。けど、考えてみてください。

家族が楽することは、結果として高齢者のためにもなっている

のです。いやいや介護していると、高齢者にもそれが伝わります「うんこ拭かせてごめんね。面倒でごめんね。いつも悪いね」家族は家族で「大事な親だけど、こんなことがいつまで続くのか…」となります。

どちらにも重くのしかかる心理的な負担を取り除く。そういう作用が「介護サービス全体」にはあるのです。デイサービスにも当然それはあります。

・買い物に行きたいけど、お母さんと一緒に行くのは負担だ…
・お風呂に入れるのは面倒だ…
・せめて日中だけでも自由な時間が欲しい…

なかなか言えないですよね。その負担を軽減するためにデイサービスはあるのです。デイサービスのサービス提供時間は、概ね9時くらいスタートで16時半には終了という感じ。少なくともその時間はおじいちゃんおばあちゃんはデイに行ってて安心だし、その間、やることやったり疲れるから休んだりすることができる。帰ってきて「今日も楽しかった」なんて言われたら、心苦しいどころか「よかったね、また行こうね」ってなって、家族の笑顔も増える。

デイサービスはそういうところです。

ざっと説明しました。まとめるなら、まさに「比較的元気な高齢者が集まって楽しむところです」となります。寝たきりだと流石に集まることが難しくなるのです。

さて、次回は、デイサービスと似ている「デイケア」について紹介してきたいと思います。

 

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